C h a p t e r 1   あり方が見つからないとき

滝の前で、降りてきた言葉

華厳の滝で降りてきた言葉──「他者貢献」との出会い

=自分視点から、相手視点へ=

「うまくいく理由が、わからない」

独立してからの数年間、私はそんな思いを何度も繰り返していました。 コンサルタントとして、クライアントの成果に貢献したいという思いはある。 けれど、成果が出ない。人が離れる。信頼を得られない。

何が足りないのか。どこがズレているのか。 自分なりに必死に向き合っているつもりなのに、空回りばかり。

そんな中で出会ったのが、とあるビジョンクエスト合宿でした。

自分の価値観と向き合い、ビジョンを明確にしていく3日間。

参加したのは、「もうこのままじゃいけない」と心のどこかで感じていたからでした。

合宿の最終日。

私は一人で、日光にある華厳の滝を訪れることになりました。

滝の音が、ただ静かに、でも力強く響いていたのを今でも覚えています。

心が洗われるような感覚。

自然の前では、どれだけ取り繕っても意味がないんだな、と感じました。

私は、滝を前にして、ずっと目を閉じていました。

「自分は何のためにこの仕事をしているのか?」

「本当に大切にしたいものは、なんだろうか?」

その問いを、何度も何度も、胸の内で繰り返していたときです。 ふと、心の奥底から、ある言葉が降りてきました。

「他者貢献」

それは、どこかで聞いたことのある言葉だったかもしれません。 でもそのときは、意味も定義も超えて、 “自分の本質”のようなものとして、まっすぐに心に響いたのです。

私はそれまで、

「よく見せなければ」

「成果を出さなければ」

「契約を切られたくない」

そんな“自分を守る”ための意識で動いていたことに気づかされました。

気づかぬうちに、ベクトルはいつも“自分”に向いていたのです。

でも、そうじゃない!

「クライアントの成果に、本気で貢献する」

「その人が本当に望む未来に、一緒に向き合う」

それこそが、自分のやるべきことだと、初めて“心から”わかった瞬間でした。

不思議なことに、その瞬間、ずっと背負っていた“鎧”のようなものが、

スッと剥がれ落ちるような感覚がありました。

「もう、取り繕わなくていい」

「ちゃんと、クライアントのそばにいよう」

そう思えたとき、自分の中から例えようのないエネルギーが沸き上がってきました。

その感覚は私の本質に「あり方」として刻み込まれました。

この華厳の滝での体験は、私にとって、人生のターニングポイントとなりました。

この日を境に、“自分の成果”ではなく、“クライアントの成果”にすべてを注ぐ、 そんなあり方へと、私は変わっていったのです。